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うちの社長が酷すぎる!

第1章 突然の転勤

夜だっていうのに、仲が良かった子とか皆が駅に見送りに来てくれた。

「いなくなっちゃうの寂しいよ〜!」
「遊びに行くね!」
皆それぞれにぬいぐるみとか文具とかアクセとか持ってきてくれて、荷物が凄い増えた笑
でも嬉しい!!

時間15分前になって、皆名残惜しそうに帰っていく。
時計を見ると9時をまわり、あまり新幹線を利用する客も少なくなった。

「………っうわ!」
後ろから抱き締められる。
息遣いで分かる。…雄飛。
「わり、遅くなった……!」
「…ううん、来てくれただけで嬉しいよ」

人が少ないのをいいことに、私たちは抱き締め合う。
「……こうなるなら、もっと早くにお前を…抱いてればよかった」
「!」
私たちは約5年間付き合いながら、身体の関係…セックスをしたことがなかった。
だから私はまだ…まぁ処女。
「…雄飛は、シタことある?」
「ねぇよ…彼女もお前が初めて」
抱き締め合いながら話す。時計を見るとあと5分。

「…私も初めてだった。でも、次のデートで…シよ?」
雄飛は黙って頷いて、1番強く私を抱きしめる。
「…いってこい」
「…うん」
雄飛は微笑んで私の背中を押した。
丁度ホームに新幹線が入ってくる。雄飛は外に消えていった。

「…っぐす」
涙がこぼれた。
あれだけ愛されていながらも、離れなければいけない事実に。

(でも、応援してくれてる。みんなも、家族も、雄飛も。)
だから、頑張ろう。

涙を拭って、私は新幹線に乗り込んだ。

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