うちの社長が酷すぎる!
第3章 初めての。
「…、そう、いい子だ………」
頭を撫でられる。
…彼氏がいるのに、とか浮気になる、とかそんなの気にしなくなるほど、私の気持ちは今この人に向いている。
罪悪感がないと言ったら嘘になるけど…
それでも、今は全身でこの人を感じていた。
「…っ、しゃ、ちょ、………」
ー切ない。
初めてをあげて、頭を撫でられて。
こんなにも幸せなのに私には相手がいるんだ。
別れたくない。…でも、この人とも離れたくない。
腕を伸ばすと、宝条社長は優しく私を抱きしめた。
温かくて、心地良い体温と心臓の鼓動に涙が出る。
「…っなに泣いてんだよ…?そんなに…」
「っちが……違うの…違うんです…!」
「………」
なんて言えばいい?
この、今知ってしまったいけない気持ちになんてなづければいい?
「…っすみませ…今だけ…今だけでいいから…愛してください……」
顔を手で覆って、熱い涙を堪える。
「…分かっ、た」
宝条社長は私の言った通り、愛をセックスで表してくれた。
そのときだけ、私はなにもかもに解き放たれて感じたことのない「愛」を感じられた。