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うちの社長が酷すぎる!
第4章 知ってしまった
えー、なんてタイミングの悪さ……
「じゃあ……海叶のところかなぁ…」
「…!」
海叶の名前を出すと、ヒカルさんの動きが止まった。
「…俺の家でいいだろ」
「え?」
「だから!俺の家でいいだろ!泊まるの!」
ヒカルさんはそう言うと、私の手を引いて来たばかりの階段を降り始めた。
…え、管理人さんの部屋に泊まるの!?
「え、でも、管理人さんの部屋になんてー…」
「…今は管理人って考えなくていい。東条ヒカルの部屋に泊まることを考えろ」
んな無茶な……
でも手を引いてくれているからか、安心感があった。
ヒカルさんは…ぶっきらぼうだし無愛想だけど、なんか安心するなぁ…
「ほら、入れ」
「お、お邪魔しまぁす……」
そーっと入ると…シンプルで殺風景な感じの部屋。床にはゴミやチリ一つ落ちていなくて、手入れが行き届いていることがわかる。
「…綺麗、ですね」
「そうか?普通だろ」
普通の男はこんなふうに掃除しませんよ…と思いながら脱いだ靴を揃えて部屋に入った。
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