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うちの社長が酷すぎる!

第4章 知ってしまった


「ー待てよ」
「へ?」

気がつくと、濡れた手でカレーを下げようとする稀乃の腕を掴んでいた。
稀乃は呆気に取られた顔で俺を見ていた。

「……食う、から」
「え、でもこれはもう冷めちゃって…」

置いてあったスプーンで1口すくって食べる。
冷めてて、正直美味しくはない。肉も野菜も出来立ての時は温かかっただろうが、出来て数時間たっているから冷めててもさもさしてる。

…でも、
「作ってもらってんだから…食うに決まってんだろ」
稀乃が俺のためだけに作ってくれた料理を残すわけねーだろ。

冷えきったカレーを食べ終わる頃には、もう時計は8時半を回っていた。

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