うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
寧々さんはキャリーケースを置きに部屋に戻り、私はヒカルさんの部屋で持ち物を揃えていた。
「…なんか案外簡単に見つかりましたね、鍵…」
「…あぁ、そうだな…」
なんだか気まずくて話せない……
「…ところで、稀乃」
「あっ、はい!なんですか?」
「…その…来週の日曜、暇か?」
ヒカルさんは妙に歯切れの悪い言い方でそう言った。
頭の中のスケジュール帳を開いて探す…けど用事は特になかったはず。
「特に予定とかは無いですけど…なんでですか?」
「…さっきの話の続き。なんで俺がお前に良くするのかってのと関係ある話をしたいんだ」
ヒカルさんの真面目な顔に見つめられ、思わず目をそらす。
「…っ、日曜ですね!わかりました…」
……待って。これって第2の浮気になるんじゃ……!
「あっ、あぁぁあの!」
部屋を出ようとしたヒカルさんの背中に叫ぶ。
OKしといてなんだけど、浮気になるのは避けたい!
「う、浮気になったりしますかね?これ……」
「………違うんじゃね?ほら、管理人の特権だろ」
そう言って意地悪そうに笑う様子から、すっかり元の調子に戻ったみたいで安心した。