うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
「遊んでたの?まさか、お泊まり!?」
「…稀乃が鍵失くしたんだと。だから、管理人の俺が泊めてやってたってだけだ」
ヒカルさんがため息混じりに言うと寧々さんは首をかしげた。
「鍵?………鍵ってこれのこと〜?そこに落ちてたけど」
寧々さんが出したのは…ピンクのキーホルダーがついた、私の鍵。
「あぁぁああ!それですそれです!私の鍵です…良かったあぁ……」
出された鍵を握りしめて寧々さんに頭を下げた。
寧々さんは手を振って「いいよいいよ〜」と楽しそうに笑った。…いやほんと、天使ですか貴方。
「…んじゃ、鍵見つかったんなら部屋入れるな」
ヒカルさんの声で現実に戻る。
…あ、そっか。楽しかったけど…仕事にも行かないと。
時計を見ると6時50分。丁度良い時間帯。
「…えと、1晩だけだったけどありがとうございました!美味しかったし、嬉しかったです」
「…別に。大したことしてねーよ」
ヒカルさんは笑って言った。
その笑顔がとても優しくて、私もつい微笑んだ。