うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
「……あ、稀乃が勤めてる会社の話、聞いたことねーなそういえば」
ヒカルさんは下げかけていた顔を上げてまたフォークに手を伸ばした。「聞かせろよ、どんなとこか」
…ヒカルさんが私に興味を持ってくれたのって、もしかしてこれが初めて?
というか今まで、仕事の話をしてこなかった。
ヒカルさんとゆっくり話す機会なんて、あまり無かったから。
「…えへへ」
「?なにニヤニヤしてんだよ」
「いや……ヒカルさんとこうしてお話できるの、すごい楽しいです」
「なっ………」
なっ?
ヒカルさんは口をぱくぱくしたあと、ふぅ、と息をついた。「ー素で言ってるから、困るんだよなぁ」
「え?なんて言いました??」
「…なんでもねーよいいから、ほら聞かせろ」
カルパッチョを食べ終わり、次の品が運ばれてきて私は話し始めた。