幸せの欠片 *超* 番外編
第3章 お墓参り
忘れていないかずの肌の感触
やっぱり指と同じで心なしかひんやりしてる気はしないでもないけれど
あの時の唇の柔らかさや、指の細さと同じで
全く忘れてない自分がいる
一緒にいても、そんなにかずを抱いた訳ではなかったのに
間違いなくこの感触はかずだと覚えていた
「んー、やっぱ相葉さんだ」
かずが嬉しそうに鼻を擦り付ける
「何それ」
「あっちでさ、母さんに抱っこされたんだけど何か違ったんだよね」
ー…さて
俺は何て答えたら良いのだろうか
“あっち“ ってのは所謂 “死後の世界“ で
“母さん“ と言うのはかずの目の前で亡くなった人で
あっけらかんと話す処を見れば、俺が変に気にする必要はないのかも知れないけれど
「…抱っこ、されたの?」
良かったね、と言うべきか……悩む
「うん。俺を見つけた途端に飛んで来てね。…こんな小さかったかなぁって」
そりゃ、幼児の頃とは大きさが違うしねぇ
「なんかさ、美化フィルター掛かってた」
…益々返答に困る