幸せの欠片 *超* 番外編
第4章 奇妙な同居生活
胸を強く叩いて、何とか落ち着きを取り戻し
尚も笑い続けるかずに視線を向ける
「何でいるの…!」
ヒラヒラと手を振るかずに問いかけて
「は?相葉?…何言ってんの」
同僚の訝しげな言葉に今さらながら気が付いた
「え、あ、…いや、」
かずの存在が俺にしか見えない事をすっかり失念していたのだ
触れない事を差し置いても、足もちゃんとあって身体も透けてないかずを見てたら
そんな基本的な事も忘れてしまっていた
「なぁ、“かず“ って何」
「えっ」
「さっき、言ってたじゃん “かず!“ って」
この、記憶力の異常に高い同僚も、時には迷惑な存在になる事を初めて知った
たかが一言を覚えてなくていいってのに
…普段はこの記憶力に助けて貰っている事はこの際棚に上げておく
今は何とかしてこの場を納めるのが先決だ
「そんな事、言った?…聞き間違いじゃない?」
「お前、俺の記憶力の高さ知ってるよな」
「……」
「ついでに “何でいるの“ っつーのも覚えてるけど」