幸せの欠片 *超* 番外編
第4章 奇妙な同居生活
どうしよう
これをかわす程のスキルは俺には持ち合わせていない
ちら、とかずをみても当事者のくせに知らん顔してる
…それどころか、周りをキョロキョロして楽しんでる
だけどここで本当の事なんて言ってみろ
信じて貰えないどころか、おかしくなったと思われるのが目に見えてるじゃないか
誰が “一緒に住んでるユーレイが目の前にいるんです“ なんて聞いて納得する?
「あ、わり。電話だ」
運が味方したのか、ベストなタイミングで同僚のスマホが鳴った
急ぎの用なのか、慌てるように俺に “ごめん“ と片手を上げて小走りに社食を出ていく
とりあえず今は免れた、と溜め息を吐いた途端
「良かったねぇ」
いつの間にか俺の真後ろにいたかずが耳許で囁いた
「うわっ!」
「いいタイミングでしょ?」
クスクスと笑う吐息が擽ったい
ついでにまたおかしな声が出てしまい、にわかに注目されている事にも気付いて
俺もそそくさと逃げ出すように社食を後にした