幸せの欠片 *超* 番外編
第6章 奇跡って信じる?
「ねぇ、これ大きすぎ」
人の気配を感じた次の瞬間、そんな事を言われて
慌てて下を向いたまま涙を拭った
誰かが隣にしゃがんでいるのが目の端に映る
墓参りかと一瞬思ったけど、今の言葉に違和感があった
それに箱の中のリングが消えている
どういう事だと、隣にいる人物に顔を向けて
……息が止まりそうになった
「なん、で……」
箱から取り出したリングを指に嵌め、大きすぎる故にくるくると回していたその人が
苦笑しながら俺の顔を覗き込んだ
「いくら何でも大きすぎでしょ。俺、こんなに太い印象?」
なんで?
どうして?
…何が、起きてるの?
「か…ず…?」
「なぁにー」
呑気に首を傾げて左手をヒラヒラさせる
手を伸ばしてみたら
またすり抜けると思った手が、…触れた
しかも冷たくない
思わずぎゅっと握って見ると、確かなぬくもりを自分の手に感じた
「本当に、…かず?」
「だからそうだって」
右手で、俺の髪に触れて微笑んでいる