幸せの欠片 *超* 番外編
第2章 真夜中の訪問者
いや、足の裏どころか全身に何かが纏わりついて動く事を拒んでいる
待て待て待て
何これ
俺、こういうオカルトは御免なんだけど
なのに悲しいかな、見てしまうのは壁に掛かった時計で
しかも嬉しくもない予想通り、針は2時
…所謂 “丑三つ時“ を差していて
勘弁してくれ
何でよりによってかずの命日にこんな目に合うんだよ
見えない布で巻き付かれたような感触に嫌な汗が背中を伝う
目を閉じたくても、何故か閉じられない
唯一動く眼球は恐いものみたさなのか、自分の意思に反して辺りをキョロキョロと見回している
変なものが見えたらどうしよう
取り憑かれなんてしたら、洒落にならない
「…っ!」
今度は完全に視界がシャットアウトされた
黒より暗い、闇
目は開いている
なのに、完全に灯りと言う灯りが遮断されている
ヤバい
あまりの恐怖に意識が飛びそうになった
いや、飛ばした方が楽かもしれない
…そう思って全身の力を抜こうとしたその時
「待てっ!待って!!ダメーっ!!!」
いきなりの大声と共に、視界に光が戻ってきた