Everyday Love
第3章 魔法のくすり【白黄】
「何で…俺を呼ばないんですか?」
「え…?」
さっきまでのしかめっ面はどこへやら。目を潤ませ眉毛をめいっぱい下げたテツが堰を切ったように喋り出した。
「せめて1番に連絡して欲しかったです。それだったらすぐ駆け付けたのに。一緒に病院に行ったのに。お粥も作ってあげたのに…!」
「テツ…」
「もっと頼って欲しいです!!だって俺…ジャスミンさんの…茉莉花さんの彼氏じゃないですか!」
突然、本名を呼ばれたため不覚にもドキッとしてしまった。と同時にさっきとは違う申し訳なさがジャスミンを支配した。
「ごめんね、テツ。そうすれば良かったね。でも…私自身もパニックになってたみたいで…」
半泣きのテツをジャスミンは抱きしめる。しかし全く力が入っていなくてテツは切なくなった。だから折れてしまうんではないかと言うほどテツは抱き締め返した。
「てつ、くるし…」
「今度からは頼ってください。もっと甘えてください。」
「わかりました。わかりました。私が悪ぅございやした。よしよし。」
テツっておっきい犬みたい。そんなことを言えば犬から鬼に変わってしまいそうな気がしてジャスミンは言葉を飲み込んだ。
その後テツは「ジャスミンさんの看病をするので非番にさせてください。勿論、何かあればすぐ駆け付けます。」と連絡を入れた。普通なら受け入れてくれないような頼みだがテツの気迫とドギーの優しさで願いは通った。
それから献身的なテツの看病でジャスミンはその日のうちに熱が下がり、2日後には職務復帰できる程にまで回復した。
そして出勤して早々、バンたちにテツとのことをいじられまくったのはいうまでもない。