Everyday Love
第3章 魔法のくすり【白黄】
「ジャスミンさん?俺です。テツです。」
「げぇ。」
思わず本音が出てしまった。1番知られたくなかった相手だ。きっと鬼みたいな顔で自分を叱りに来たに違いない。厳しい彼氏を持ったものだ。
「げぇ。じゃないですよ。入りますよ。」
「きゃー、不法侵入よー」
そんな冗談は通じなかったらしくジャスミンの予想通りテツは鬼のような形相だった。
「めんご、めんご、テツ。機嫌を直してくれたまえ」
どうどう!と両手を前に出すジャスミン。しかし、その手を握られてしまった。
「熱い…何度ですか?」
「え?」
「だから、熱」
「あー、38度くらい?」
「測ってないんですか?」
「朝と病院では測ったでやんす」
赤い顔で敬礼するジャスミンにテツははぁ、とため息を吐くと傍に置いてあった温度計をジャスミンの脇に忍ばせた。
しばらくしてピピッと音が鳴るとそこには39.2と表示されていた。
「あら、インド人もびっくり」
「ナンセンス!上がってるじゃないですか!」
「お粥作ったからかな」
「は?」
あれ、とキッチンに置いてある食器を指指すジャスミン。
テツはまたひとつため息を吐いた。
「あらあらテツ、ため息つくと幸せ逃げるわよ?」
「今逃げてる真っ最中なんで大丈夫です。」
およよ、といつもより多く死語を連発するジャスミンにテツは小さく呟いた。