Everyday Love
第5章 Ours【白黄】
「俺、しばらく地球署から離れることになりました。」
突然、自室に思いつめた顔で来たと思えば、とても申し訳なさそうにそれを報告しに来たテツ。
どうやら特キョウのとしての仕事が入ってきたらしい。
所謂、''長期出張''だ。
ドギーには話をつけているらしく2番目にジャスミンは話を聞かされた。
あまりにも悲しそうな切ない顔をされているのでこちらも悲しみたいけど悲しめない。
先輩の余裕を見せつけるかのようにジャスミンはニッコリ微笑み
「行ってら?」
いつものような死語を口にし、テツの頭を数回撫でた。
その後、デカルームでも同様にドギーから連絡がありそれから数日後、地球署を旅立ったテツ。
「何か冷めてないですか?俺、めちゃくちゃ寂しいのに…」
耳が垂れ下がっている幻覚が見えるぐらいしゅんとした様子のテツをジャスミンは両手を頭まで上げ耳のポーズをし、ふふっと笑い返す。
「テツ、お耳が見える。永遠の別れじゃないんだから。たかが数週間でしょ?」
「ナンセンス!されど数週間ですよ!茉莉花さん!」
「…っ!」
不意に本名を呼ぶのはやめて欲しい。
彼はときどきわざとなのか天然なのかここぞというときに本名で呼んでくるためジャスミンの心はぐちゃりとかき混ぜられるのだ。
「もう…」と呟きながらジャスミンはテツの肩を抱いた。
「いい?テツ。私だって寂しいわ。でもホージーの言葉を借りると…私達はプロなんだから。この仕事を終えて一回りも二回りもでっかい男になってきなされ」
小さい子に言い聞かせるように話すジャスミンにテツは「茉莉花さんには敵わないなぁ…」と小さく笑った。
そして出張中は通信を一切しないことを約束した。
テツは「ナンセンス!」と悲鳴をあげたが「一言でも話せば会いたくなって仕事が手につかなくなるでしょ?」と言われ、渋々了解した。
「あー!テツ、行っちゃたね!ね、ジャスミン?」
大袈裟なくらいがっくりと項垂れるウメコにジャスミンはウメコの頭に手を置いた。
「どっちが持つかね…意外と私の方が無理かも」
「え?何の話?」
「こっちの話ナリよ」