Everyday Love
第11章 color【白黄】
「おはようでゲス。」
朝、テツは出勤して早々スワンの周りをウロウロとしていたが、聞き馴染みのある死語を耳にした瞬間弾かれたようにスワンから離れ、声の方へと飛んで行った。
「あらあら」
そんなテツをさっきまで付き纏われまくっていたスワンは呆れたような微笑ましいような様子だったが、テツの素っ頓狂な叫び声にどうしたものかと鉄工所を後にした。
「どうしたの?あら、まぁ…!」
口を開け、フリーズしているテツと、茶髪にセミロングが定番だったヘアスタイルから黒髪に少し切ったヘアで佇むジャスミンの姿だった。
「スワンさん、おはようございます」
「おはよう。ジャスミン、髪型変えたのね?」
「はい。もういい加減飽きたから茶髪はやめようかなって…」
自分の髪を撫で、照れくさそうに笑うジャスミンにスワンはほっこりと和んだが、フリーズしていたはずのテツが物凄い勢いでジャスミンの肩を掴んだ。
「テツ!?痛いんだけど…」
「めちゃくちゃ似合ってますよ!もちろん、前の髪型も大好きなんですけど、今の黒髪も素敵です!!やっぱり、日本人は黒髪ですよね!!!」
「テツ…どうどう…」
急に力説しだすテツにジャスミンは若干、引きながらも犬を落ち着かせるように両手を前に出した。
「テツ、気持ちはわかるけどちょっと必死すぎて怖いわよ。」
ずっとそばで2人を見ていたスワンがフォローを入れる。
スワンに宥められ、我に返ったのかギュウギュウとジャスミンの肩を掴んでいた手を離し、「す、すみません!!」とジャスミンから1歩離れた。
「そんなに気に入ってもらえたら私も変えた甲斐があるナリね」
フワッと髪を靡かせるジャスミンに首を縦にブンブン振りながら小さく拍手するテツ。その光景に、スワンは思わず噴き出した。
「他の子達の反応も楽しみね」
スワンの言葉にジャスミンはニッコリ微笑んだがテツは少し複雑そうな表情を浮かべた。