Everyday Love
第13章 としごろ【緑桃】
「なによそれぇ!!私には無理ってことぉ!?」
「ウ、ウメコ落ち着いてよ…」
「落ち着いてられないわよ!!センさんなんか嫌~い!!嫌い嫌い!!」
キーッ!!と奇声を上げて怒りを露わにするウメコにセンは慌てて宥める方向に転換する。
ウメコの方を向こうにもひょいひょい交わされてしまう。
「ウメコごめんって!」
「知らなぁ~い!」
「ごめんねって!っていうか何で今になってそんなに身長を伸ばしたいの?」
センの言葉に首を振って顔を合わせることを拒否していたウメコの動きが止まった。
「ウメコ?」
「…っ、とにかく背を伸ばしたいのよ!み、みんなをみ、見上げてたら首とか痛くなるから!!」
急に顔を真っ赤にさせたウメコを不審に思いながらも怒りは静まったようでそれらしい理由も聞け、安心し、納得した。
「ほぉ~お、なるほど。どれぐらい伸ばしたいの?」
「とりあえずぅ~…センさんぐらい?」
「えぇっ!?」
ジャスミンぐらい…とでも言うと思ったがまさかの自分程の身長が欲しいらしい。
思わず半笑いになってしまいまた怒り出すかと冷や冷やしたがウメコは気付いていないのか気にしていないのか言葉を続けた。
「だってぇ~、男の子達の中では1番大きいでしょ?だから!」
「いやいや、何で男性陣基準なの?」
「うちの男の子達、揃いも揃って大きすぎでしょ!!何か悔しいし腹が立つから!!」
「そ、そんなこと言われても…」
確かに地球署の男性陣は''デカ''レンジャーだけあってみんな、デカい。
最近、特キョウからやってきたテツもかなりの高身長だ。何よりもボスは規格外。
でもまさか「悔しい」とか「腹が立つ」と思われていたとは思わなかった。
「そっかー、何かごめんねぇ。でもデカいなりに苦労もあるんだよぉ。」
「ちっちゃいよりましよ。特に男の子は。」
「はは、確かにね。」
「だから絶対大きくなるっ!」と意気込むウメコにセンは1つ自分の意見を述べた。
「でも俺は…ウメコぐらいのサイズの女の子が好きかなぁ。俺ぐらいのサイズの女の子とはちょっと一緒に歩きたくないよ…じゃあ、頑張ってね」
「そろそろパトロールの時間だよぉ」とセンは言い残し、デカルームから出て行った。
その場で固まるウメコ。鈍器で頭を殴られたような感覚。そして口を開いた。
「やっぱり今のままでいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」