Everyday Love
第15章 雨の日に偶然【白黄】
目的地のスーパーはデカベースからそう遠くないので歩いて行くことにした。
雨は強くはないがかなり降っている。
やっぱり好きになれない。
ぼーっとしながら歩を進めていると見覚えのある顔がこちらに向かってきている。
「あれ…テツ?」
「ジャスミンさん!?」
あちらも気付いたようで目を見開くとこちらに走ってきた。右手にはパンパンのエコバッグが握られていた。
確かテツも非番だったことを思い出した。私服姿を見るのは何気に初めてで少し違和感を感じた。しかも自分のパーソナルカラーである白の傘を差している。まぁ、ジャスミンも黄色い傘を差しているのだが。
「偶然ですねぇ!!」
「うん。もしかしてテツもあそこに行ってきたの?」
「はい。餓死寸前だったんで。」
「餓死って…」
スペシャルポリスは日夜アリエナイザーを追っているため、休みはないに等しい。だから食料を買いに行く時間もない。そうすれば冷蔵庫は空になり悪循環が生まれる。
「笑い事じゃないですよ!俺、ここ2、3日ウインナーだけで凌いだんですからね!」
「いや食堂あるじゃないっ…」
力説するテツにジャスミンはケラケラと笑った。
お互いが非番だったり、片方が非番だったときデカベース内では何度か会ったことがある。
しかし、こうやって外でしかも偶然に会うことなんて奇跡に近かった。
「じゃあ…また…」
一通り盛り上がり、そろそろ別れようとおもった。まだ雨も降っているし、こんな所で長居してしまえば風邪を引いてしまう。しかし。
「あ!付き合いましょうか?」
「え?さっき買い物してきたんじゃないの?」
「そうですよ?」
「え…じゃあとんぼ返りになるわよ?悪いわよ…そんなこと…」
「ナンセンス!きっと、俺みたいに大荷物になるでしょうし、帰るとこは一緒ですし。」
「でも…そっちこそ荷物多そうだけど…」
「大丈夫です、特キョウを舐めないでください」
「いやいや…」
「俺はまだジャスミンさんといたいんです。無理矢理にでも付いていきますよ」
真剣な顔で言い切ったテツ。その発言に他意はあるのだろうか。
結局テツの熱意に負け、2人で買い物に行くことになった。