Everyday Love
第18章 甘い予感【白黄】
「んっ?…これ鉄観音茶ですか?」
「ビンゴ」
自分の名前と同じであるお茶をチョイスする辺りがジャスミンらしい。
「ちなみに私はジャスミン茶」
「やっぱり!ですよね!」
Vサインをしながらお茶を飲むジャスミン。こういった時間がテツは何より好きだった。
「みんながいなくなると本当に静かねぇ」
アブレラに破壊された前のデカベース及びデカルームよりももっと近未来的で広いネオデカベースのデカルーム。
ファイヤースクワッドへ移動したバンがいなくなっても賑やかさは変わらないがテツが副署長になってからデカルームをよく空けるようになったドギーやスワンすらいないこの部屋は少し寂しげだ。
「でも、2人きりってドキドキしますね」
「まだ中学生みたいなこと言ってるの〜?」
「ナンセンス!ろくに恋したことないで生きてきたんだから仕方ないです」
「それは私もよ」
交際し出してから暫く経つのだが未だに友達の延長線みたいな付き合い方をしている。
ホージーに「子供みたいな恋愛してるよな」とからかわれたこともある。
それについては2人共自覚している。
しかし、片方は幼少期から毎日の訓練を強いられ、片方はエスパー能力ゆえに傷ついてばかりだったため仕方のないことだろう。
「かと言ってセンちゃんやウメコみたいな初々しさもないしね」
「意外と辛辣ですね…茉莉花さん…」
「ちょっとタンマ!勤務中はコードネームよ」
「それ俺達の後輩のセリフに似てるんですが…」
たわいもない話をしているときがどうしようもなく楽しい。こんな時間がずっと続けばいいのになとテツは思った。
「幸せですね」
「何よぉ、急に」
「茉莉花さんとこうやって話しているのが楽しくて幸せです」
「テツ、名前…」
「2人だけなんだからいいじゃないですか!ま~りかさんっ♪」
こういうときに後輩であることを利用してくるテツにずるいな、とジャスミンは思う。
ホージー達が見ればバカップルだと称されるだろう。
こんなに幸せだったら別に馬鹿と言われてもいい。
「もう…しょうがないわね…鉄幹は」
「え?今…もう1回、もう1回言ってください!」
「嫌ナリよ、仕事に戻るべし」
「茉莉花さんのいじわる~!!」