Everyday Love
第21章 SUMMER GATE【白黄】
デカレンジャーは海へと来ていた。
決して遊びでではなく、度々アリエナイザーが現れるとのタレコミを受けてだ。
許可を得て、海の家の店員のフリをしたバン・ホージー・ウメコと客のフリをしたセンちゃん・ジャスミン・テツでアリエナイザーが姿を見せるのを待っていた。
「海なんて初めて来ました。」
海パンにTシャツ、ビーチサンダルの格好でテツが「お腹が空いた」とホージーが見ていないのをいいことに売店で買った焼きそばを食べながらポツリと呟く。
物心がつく前に宇宙警察に引き取られ、地球にいなかったテツだから海に来たことがないのは仕方ないだろう。
「そうなの。まっ、私も来た記憶ないけど…あっ崖や岩ばっかりある海なら何回かあるわね…。」
こちらもTシャツにスカート、ビーチサンダルといった格好のジャスミンがテツに買わせたジュースをストローで啜りながら答える。ちなみにセンちゃんは「水族館がある」と言ってそっちに行ってしまった。
「崖や岩ばっかりですか」
「うぬ。アリエナイザーを追いかけてね。だからこんな典型的な海は私も初めてよ。」
「そうですか~。任務とは言え、やっぱ嬉しいものですね。」
ホージーに聞かれたらどうなることやら…とヒヤッとしたがジャスミン自身も少しテンションが上がっていたのだ。
「それにしてもアリエナイザー現れませんねぇ…」
「毎日来るわけじゃないって言ってたし…今日はハズレかもねん」
「ナンセンス…でもそれはそれでいいかも」
焼きそばを平らげたテツは容器を綺麗に片付けると立ち上がった。
「どこ行くの?水族館?」
「いえ、これ捨てに行くついでにちょっと海の方行きません?」
いいことを思いついたと言わんばかりの表情のテツ。ジャスミンは困惑した。
「ええ…でも…」
「大丈夫ですよ。何か今日はハズレっぽいですし…それに、センパイ達がいますし、センさんも向こうにいるんですから。万が一アリエナイザーが現れてもしれっとまじればいいんですよ。」
本当にホージーにバレたら鉄拳制裁は免れそうにないことを言うテツにジャスミンは悩んだが。
チラッと海の家コーナーを見るとボール遊びをするバンとウメコが見えた。
きっとセンも水族館で魚達に夢中なんだろうか。
「ちょっとだけよ。あ、入らないからね?」
「やった!大丈夫です、少し見るだけです。」
ジャスミンは立ち上がった。