Everyday Love
第23章 木枯しの精【銀←白←黄】
そしてテツの隣に座る。最近、寒くなってきたからお気に入りのタオルケットを膝に掛けながら。
しばらくの沈黙が続く。
「テツ…」
耐えきれなくなった私は名前を呟いた。
私はそっとテツの頭に手を置いた。ピクっと動いたように思えたけどやっぱりテツは何も言わない。
「テツくんはよく頑張りました。100点満点でごわす。」
そのまま髪を撫でつけるように手を動かす。グローブ越しにテツの髪の毛が伝わってくる。
こんなグローブ、取ってしまいたかった。でも、取ってしまったら私が知りたくない気持ちまで伝わってきてしまう。
テツが少し肩を震わせた。不自然に肩が揺れる。
まさか、テツ…泣いてる?
泣いてるならいい。泣けばいい。思う存分泣いてリフレッシュできるならなによりだから。
「ねぇ、テツ。私、テツの気持ちが痛いほど分かるのよ。」
独り言のように私は喋り始める。
「分かられてたまるかって思うかしら?でも、分かるの。嫌でもね。なんでか分かる?」
意地が悪いなぁって自分でも思った。
どうせ、テツは何も答えないだろうし。
でも、君も失恋したと同時に私だって失恋してるのよ。
「…お茶冷めちゃったわね。淹れ治してくる。」
立ち上がろうとしたとき、テツが私の腕を掴んだ。
…行って欲しくないのだろうか。1人にして欲しくないんだろうか。
そして掴んだ手を自分の頭に置いた。
…まだ撫でて欲しいんだろうか。
私は小さく笑うと椅子に座り直した。そして膝に掛けていたタオルケットをテツの肩に掛ける。
「テツは甘えんぼさんナリね。」
さっきのようにテツの頭をリズムよく撫ぜる。
「ねぇ、テツ。」
どうせ、答えてくれないんだったら。
もっと意地悪してもいいよね。
「いつでも待ってるから気が向いたら私を見てね。」
テツがやっと顔を上げた。