
溺れてみたい
第1章 一
「いやぁ、こんなに可愛いなんて思わなかったなぁ。由来ちゃん、写真より可愛いね。芸能人ではあの子に似てるね。えっと名前なんだっけ……」
階段を上って二階の廊下に着くと、椎名は奥へと進んだ。
そして上機嫌に話しながら、一番奥の部屋の前で立ち止まる。
「ここが俺の部屋だよ」
ここに来るまでに5部屋は通り過ぎた。
一体どれだけ広いの……この屋敷。
廊下には高そうな絵画や壷が飾ってあったし。
うちのボロアパートとは大違い。
「入ろう」
ニコッとしながらドアを開けると、そのまま薄暗い部屋へ案内される。
