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溺れてみたい

第2章 ニ


「無理……やっぱり私……家に帰りたい……」


我慢の限界が来た様に、溢れる涙。


……貧乏でも、家族と暮らせて幸せだった。

お金の為に売られたのも、家族は悪くない。

こんな国にした、政府が悪い。

だから、大好きな家族の元に帰りたい――



「お願いします……お金は何とかするから。家族のところに帰して下さい……」


涙で視界がはっきりとしないまま、頼み込む。

……どうか。一生のお願いだから。

そんな願いが叶うなんて思ってはいないけど、少しの希望に期待した。


「由来ちゃん、可哀想……」

「うう……」

「分かったよ。俺が何とかするから」


……本当に?

本当に言ってくれてるの?


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