
溺れてみたい
第4章 四
この無愛想さも、またいつものことだと流すだけ。
「だって私が屋敷に来てから、一度も手を出さないし」
「普通、お前に手出そうと思うか?」
「椎名様と奈都様は毎日」
「……アイツらは異常なんだよ」
二人並んで鯉を眺めていると、ふと藤夜が呟いた。
「お前も異常だけどな」
「えっ!?何で!?」
「親から売られても平気な顔してんだろーが。よくそんな普通にしてられんな」
「まぁね!もう慣れた!」
すいすいと泳ぐ鯉を目で追いながらあははと笑うと、隣から鼻で笑われる。
「ふん、変な女。やっぱ俺は抱く気にならねーわ」
その言葉に、何故か私の胸はチクリと痛んだ。
