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僕らの歪な経験値

第4章 ズレる

翔 side







「櫻井くん、ここ使う?」



作業をしている教室で資料を作っていると、違うクラスのクラス委員に声をかけられた。



翔「いや、すぐ終わるからどうぞ」



今度の委員会で提出資料の仕上げを忘れていた。



あとはプリントすれば終わりだから、他のクラスの委員に教室を使ってもいいと言えた。



大野が教室で待ってくれてるから早く終わりたいし。



「櫻井くんて彼女いるの?」



ぶはっ!



不躾な質問に思わず笑ってしまった。



「ごめんごめん。櫻井くんカッコイイからいるのかと思ってさ」



カッコイイのは認めますけど。



だからって彼女いるか聞きます?



そういうお年頃って感じ?



同い年だけど。



翔「彼女いないよ」



「へぇ。いないんだ!」



ちょっと嬉しそうなのはなんですか?



彼女はいないよ。



彼女はね。



翔「どうして?」



「あっ。恥ずかしいんだけど。好きな子ができて。どうすればいいかなって。櫻井くんくらいモテたらいいんだけど…」



翔「確かにモテるのは否定しないけど」



「否定しないんだ」笑



翔「好きな人にモテないと意味ないよね。そういうの」



今まで好きな人ができても、あんまり困ったりしなかったな。



フったりフられたり繰り返したけど。



こんなに別れたくない相手に出会ったこと無い。



今だって会いたくてたまらない。



会いたくて会いたくて震えちゃう。笑








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