テキストサイズ

僕らの歪な経験値

第6章 好る

智 side







相葉くんがニノの腕を取りニノの体をカーテンに押し付けた。



え?え?相葉くん!暴力はいけないよ!



しかし相葉くんの拳は振り上げられず、手を開いてニノの顔を挟んだ。



あれって…



キスしようと、してる…?



ニノは離してほしくて相葉くんの顔に手をかけたり、暴れたりしてた。



相葉くんはその暴れる腕もカーテンに抑えつけた。



智「あ…」



気が付けば、相葉くんはニノに無理やりキスしてた。



ニノが抵抗できないくらい、カーテンにニノの頭を抑えつけてた。



俺らは驚きすぎて体が動かなかった。



え?



2人はそういう関係なの?



黙ってるなんて水臭い。



言ってくれたらいいのに。



なんて。



そんな甘ったるい関係でないことは、火を見るよりも明らかだった。



相葉くんが、今度はニノの肩に顔を埋め、体をまさぐりはじめた。



ニノの口が「やめろ」と動いた。



助けなきゃ!



ニノを助けなきゃ!



足を踏み出した所で、ニノが相葉くんを突き飛ばした。



そのまま頬を殴った。



相葉くんは床に転がる。



殴った。



ニノが。





ニノは勢いよく視聴覚室を出た。



その時、俺らがいることに気づいた。



しばらく俺らは見つめ合った。



何か気の利いた言葉をかけなければ。



そう思えば思う程、言葉が出てこなかった。



ニノは俺らと違う方へ歩きだした。



その目には。



涙がたまっていた。



視聴覚室には相葉くん、1人。



その姿は背中しか見えない。







【お山 篇・完】






ストーリーメニュー

TOPTOPへ