眠れない夜を抱いて
第2章 その男、αにつき
なんだ?
何か凄い嬉しそうな顔してるぞ、こいつ…
「マジ?じゃあさ、ちょっとお茶しようよ!」
ニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべてるけど
“お茶しよう“ なんて、今どき言う奴がいたとはそっちのが驚きだ
一昔前のナンパだろ、それ
「はぁ…」
「ね、せっかく知り合ったんだし!」
知り合った、って言えるかは分からないけど
俺の知っているαとは何かが違うこいつに、少しだけ興味が湧いていた
つか
こいつ、本当にαなのか?
だけど俺のフェロモン感じ取ったんだよな
うーん…
「ね、ダメ?」
顔を覗き込まれ、至近距離で見つめられて
初めて、こいつの顔がなかなかの男前だと言う事に気が付いた
そして
何とも言えない香り?匂い?をこいつに感じている自分がいる
何だろう、この感じ
このままさよならするのが惜しくなる
こいつの事、もうちょっと知りたいかも。なんて考え始めてる
「いいよ、別に…」
だから少しだけ
素直になってみてもいいかな、なんて思ってみた