眠れない夜を抱いて
第2章 その男、αにつき
雲1つない澄みきった空
時々頭上を通りすぎる鳥に、小さな子供の楽しそうな声
目の前の遊歩道は犬の散歩をする人や、のんびり歩く人が行き交う
…何で俺はこんなとこに座ってるんだろう
今、俺がいるのはカフェでもなければ室内でもない
広い公園の象徴らしい、……噴水前のベンチ
「はい」
ニコニコと笑って缶コーヒーを差し出され、咄嗟にそれを受け止める
「…お茶って……」
「せっかくいい天気だからさ!…あ、嫌だった?」
途端に顔が切なそうに変わって
「あ、いや、…驚いてるだけだし」
慌てて否定してる俺がいて
「ごめんね。俺、洒落た店とか分からなくて」
「はぁ……」
何だか、返す言葉がない
だってさ
普通 “お茶しようよ“ って言ったら、どこかの店に入るって思うじゃん?
公園で缶コーヒー、なんて考えないよね?
これだけでも、今まで見てきた数少ないαとは違う
過去に知ってるのは、自分の強さをひけらかす奴だけだ