眠れない夜を抱いて
第3章 友達じゃなくて
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「あー、面白かった!」
その言葉通り、“大満足だ“ と全身で現すにのに思わず笑みが零れた
「楽しかったなら良かった」
それだけ嬉しそうにしてくれるなら誘った甲斐もあるってもんだ
「俺さ、あんまり映画って見に行けないから良かったよ!やっぱ家で見るより迫力あるなー」
え?
見に “行かない“ じゃなくて “行けない“ ?
何気無い会話の一部に引っ掛かる
「にの?」
「ん?」
「見に “行けない“ って言った?」
俺にちらりと視線を向けたにのが、すぐにそれを逸らし「だってさー」と続けた
「映画館じゃ、逃げられないじゃん」
その言葉の意味は、割とすぐに理解出来た
初対面の電車と同じ
「…分かった?」
にのが少し困ったように笑う
絶対数から言ったらαもΩもβより遥かに少ない
だけど少ないからこそ、その性を見抜き易いのかもしれない
それににのくらい可愛い顔なら、それだけでも餌食になるんだろうとも思う