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眠れない夜を抱いて

第3章 友達じゃなくて


「じゃあさ、俺となら行けるね、映画」

「なに、行ってくれんの?」

よほど嬉しいのだろう、にのの顔がパッと明るくなる

「うん。行こうよ」

何でもいい

にのと一緒にいられる理由があるなら

「ありがとう。スッゴい嬉しい」

この笑顔を独占出来るのなら



「ね、まだ時間平気?」

今日はまだ帰したくない

「うん」

「良かったらさ、少し飲まない?」

「いいねぇ、俺も飲みたいと思ってた」

お互いで顔を合わせて吹き出した

1つ1つ、距離が縮まる感じが嬉しい


「俺の知ってる店、行かない?料理は魚がメインなんだけど…」

今度はにのからの提案

窺うように俺を見上げたにのに笑って頷く

それを了承と捉えたにのが「なら行こ!」と、自然に俺の腕を取った

たったそれだけで、胸がドキドキするとか


…中学生か、俺は


そんな気持ちになれてる事がどこか嬉しいとか

触れるシャツ越しのにのの手の感触を喜ぶ自分に苦笑を抑えられなくなった


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