眠れない夜を抱いて
第4章 瀬戸際の優しさ
やがてタクシーが目的地に止まると、相葉さんが突き飛ばすように俺を降ろした
「今は離れなきゃ無理だ…っ、ごめん!」
相葉さんが苦しそうに言って目を逸らす
だけど
力の入らない身体がバランスを崩して地面に叩きつけられるのを見たのか、1度閉まったドアが再度開き
相葉さんも続けてタクシーから降りたのが見えた
アパートは目の前
中に入ってしまえば楽になれるかもしれない
ここまで我慢してたんだ
もう、抱かれてしまえばいいじゃないか
発情期を、冷静に過ごせと言う方が無理な話だ
しかも目の前にはαの相葉さんもいて、彼もヒートを起こしてお互いを求めてると言うのに
「あ…相葉さ、…」
そう考えたら無意識に相葉さんに縋るように手を伸ばしていて
「ごめん…っ!」
それを引っ張るように自分の方へ引き寄せた相葉さんが、前と同じように俺を肩に担ぎ上げた
人一人抱えてるとは思えない程、早いスピードでアパートの階段を登っていく
その振動さえも今の俺には刺激にしかならなくて
漏れそうになる吐息を必死に噛み殺した