イチャコラミックス
第5章 精霊彼女の良い土
けど、そんな過去を疑ってしまうくらい、エレミムは変わった。
この短期間で『人間らしく』なった。ヒトを知ろうと人間の世界で日々学び、暮らす内に彼は憑き物がとれていくように彼自身その者を見せるようになった。
『そそのかされていただけ』そう言っていた神鳥由芽の言葉を今ならその通りだと思う事ができる。
「わたくしのことも…」
アゼットが俯いたまま呟く。
「あらやだ、ふふ…。聞くだけ無駄というものですわね。」
美しい顔が悲しげに歪む。
「ごめん。」
「え…。」
腕の中にほとんど熱は感じない。
しかし
「香田…さん?…あぁ、やはり貴方は良い土ですわ。こんなにも温かい。」
アゼットにとって、人の体に包まれるのは初めての事だった。
それは土の中に撒かれた種子にも近い感覚。
安心する、そんな温かさ。
香田は抱き締める腕に神経を張り巡らす。
力を入れ過ぎないように、柔く、柔く…自分に言い聞かせる。
この美しいものを壊さないように。
「アゼットは…綺麗だよ。」
彼は思っていた事をそのまま口にした。
「…」
ピクリ、厚い胸で反応を感じ、そっと抱き締めていた腕を緩める。
アゼットは恐る恐る顔を上げ、香田を見つめた。彼は真っ赤になり、真剣な目で真っ直ぐこちらを見つめている。
アゼットの心臓がはねた。
そもそも精霊である彼女に人間と同じ心臓なんてあるのかと疑問だが。
「…」
あぁ、これが人間の温もりか、彼女はそう思った。合わさる唇の熱さに胸が高鳴る。
腕をのばし、香田の首の後ろに回した。
離れないで欲しい。
もう少し、もっと。
この短期間で『人間らしく』なった。ヒトを知ろうと人間の世界で日々学び、暮らす内に彼は憑き物がとれていくように彼自身その者を見せるようになった。
『そそのかされていただけ』そう言っていた神鳥由芽の言葉を今ならその通りだと思う事ができる。
「わたくしのことも…」
アゼットが俯いたまま呟く。
「あらやだ、ふふ…。聞くだけ無駄というものですわね。」
美しい顔が悲しげに歪む。
「ごめん。」
「え…。」
腕の中にほとんど熱は感じない。
しかし
「香田…さん?…あぁ、やはり貴方は良い土ですわ。こんなにも温かい。」
アゼットにとって、人の体に包まれるのは初めての事だった。
それは土の中に撒かれた種子にも近い感覚。
安心する、そんな温かさ。
香田は抱き締める腕に神経を張り巡らす。
力を入れ過ぎないように、柔く、柔く…自分に言い聞かせる。
この美しいものを壊さないように。
「アゼットは…綺麗だよ。」
彼は思っていた事をそのまま口にした。
「…」
ピクリ、厚い胸で反応を感じ、そっと抱き締めていた腕を緩める。
アゼットは恐る恐る顔を上げ、香田を見つめた。彼は真っ赤になり、真剣な目で真っ直ぐこちらを見つめている。
アゼットの心臓がはねた。
そもそも精霊である彼女に人間と同じ心臓なんてあるのかと疑問だが。
「…」
あぁ、これが人間の温もりか、彼女はそう思った。合わさる唇の熱さに胸が高鳴る。
腕をのばし、香田の首の後ろに回した。
離れないで欲しい。
もう少し、もっと。