硝子の指輪
第1章 厚い唇
先輩もよく飲んで私もよく飲んだからしょうがないことにするんだ、今日は。
「あ、シャワー浴びてきていいぞ」
「じゃあ、失礼しますね」
パンツにブラなしワイシャツでその場に立つ。
「橋田ちゃん!!!ダメだよ!無防備過ぎだから…」
強制的にバスタオルを巻かれる。
「…え、今更?」
「だめだめ!襲われちゃうからね!」
……え、誰に?
先輩ですか?大歓迎ですよ。
とばかりに口をもごもごとさせ、ほっぺた真っ赤にして先輩から逃げるようにして風呂場のドアにもたれかかった。
「……ずるすぎでしょ」
人妻…ならぬ人夫。
かなりの人間たらし。
あの厚い唇から発する声から息から何から何まで、私を魅了していく。
絢都先輩の奥さん、すみません。
こんな私でも少し恋させてください。