硝子の指輪
第1章 厚い唇
先輩は控えめに言って純情そう。
20歳になるまでキスしたら子供できると思ってたらしいし、恋も知らないし。可愛いという言葉だけでは済まない、天然?ぶり。
そんな先輩も結婚している。
すごいことだとは思ってしまう。
「私のことはどう思います?」
昨日、酒に酔った勢いで口が滑った。
「凄く頼りになる後輩だな!」
と、さらっと笑顔で言われた。
「すき?」
と聞くと
「勿論…好きだぞ」
何でそんな照れくさそうに言うのか、謎だ。もっと胸がぎゅーーっとなる。
好きが溢れてパニック。心臓に多くの負担がかかっているのは嫌でも分かった。
「んふふっ、私もですよ〜」
なんて答えてたらチューしてた訳だ。
無論否定なんかしない。
少しの罪悪感はあるけど。