硝子の指輪
第1章 厚い唇
「え?」
不意にドキッとさせられた。
「…どうしました?」
「あ、いや…今美味しそうって言ったから何のことかなあって」
あー、それは貴方の唇ですよ!
って言いたい、言いたいけど…!
「いやぁ、あの雲見てください…綿菓子にしか見えなくて…」
「おーすごい入道雲だな!確かに綿菓子…」
「最近カラフルな綿菓子多くてすごい気になってたんでつい…お恥ずかしいですけど」
違う意味で胸がドキドキである。
「橋田ちゃんは今どきの子だな〜俺なんか全然わかんないわ…」
「流石、アラサーですね」
私が笑うと彼はちょっとむすっとしながら
「それ褒めてないでしょ!!」
と不貞腐れながら言った。
なんて可愛い人だろうか。