硝子の指輪
第1章 厚い唇
中原絢都先輩。
この先輩は会った時から彼女持ちで、最近結婚したことが分かった。
まあ、誰でも気にするであろう、指輪。
近くで見たことがないから確信はついていないが、薄らと名前が刻まれている気がする。
凝ったデザインということは百も承知だ。
「アラサーって言ってもまだ31ですよね?まだまだミーハーいけますよ!」
「いやぁ…橋田ちゃんには勝てないよ?8歳も違うんだから」
「いや、先輩?8歳離れてるどころか絶対私のこともっと子供だと思ってるでしょ?!高校生とか!」
「変わらん変わらん。五年前高校生だったんだからまだまだだね?」
くっそぉ……。
これが最大の難関とも思われる歳の差。
8歳ってそんなにあるのかなあ。そんなの気にしないくらい先輩が好きだけど。