硝子の指輪
第2章 隙間から除く谷間
「は、橋田ちゃんももっと俺に否定しろよ!」
「あー、先輩だからー…そのー…」
彼は彼女の言葉に溜息を漏らす。
「これだから小悪魔はな…」
可愛いとついうっかりしてしまうだろ…。そんなやり口はダメに決まっている。
チラチラと彼女の顔を伺うが、かなり雲行きが怪しい。
「私が誰とでも寝てると思ってるんですか?心外なんですけど!!」
「そ、そうじゃない、そうじゃないけどな?!」
「…」
「…怒ってる?」
「……別に」
「顔が怖いよ…」
可愛い顔が台無しだと思い、ほっぺを両手で捏ねる。むすーっとしているのが治らない。少しだけ心配する。
すると…
「先輩は女心分かってない」
と、思いっきり言われた。
「…男だからな!」
そう軽く誤魔化した。