硝子の指輪
第3章 劣情と苛立ち
ぐっすりと寝てしまった私。隣には彼がすやすやと寝ていた。私を抱きしめながら。
これはこれで動けない…。
ピッタリと張り付いた肌。
そこからじんわりと広がる人の温かさ。
くるっと回った。
「……まつ毛ながっ」
先輩のまつ毛はセパレートして長く、私より全然綺麗だった。
「珠…?」
「あ、起きましたか…?」
と言ったのにも関わらず、ぎゅーっと抱きしめてきた。これが現実なのかどうか確かめるかのように。
「……おはよ」
「おはようございます、んっ!?」
突然のキス。
先輩の甘いキスに酔いしれる。
「はあっ…はぁ……もぉ!」
「可愛い」
「その言葉はダメです…どうしたんですか」
いつもと違う、この甘え。
ずっと胸がドキドキさせられて耐えるのに必死だ。