硝子の指輪
第3章 劣情と苛立ち
「……いやね、俺はあんまり言ったりはしないけど……」
「な、なんですか…?」
「凄く好きなんだよ、今まで有耶無耶にしててすごく悪いんだけどな……」
……ぶわっ。
心臓に負担が。
「指輪してたのに私が迫ったのも…ありますし…」
「あぁ…でも嬉しかった」
ああ、よかった。
ただの図々しい後輩だと、ずっと思ってた。言ってた通り有耶無耶にさえもされるほど。
「…ぁ、よかっ…た…」
涙が溢れた。
「……ん、泣くな」
「嬉し涙なので…許してください…」
そう言ってぎゅっと抱きしめられた。
私はもうその言葉を信じていこうと決めた。
もう、手に入らないであろう、と思ったから。このチャンスは神様がさずけてくれたんだと。
「あのな、妹の件なんだけど」
「…はい」
「会ってみないか、俺の彼女として」