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BL短編

第1章 彼のヒーロー

俺はてっきり、高1くらいだと思っていた。
野上は大学生でひとり暮らしをしているらしい。
童顔なのがコンプレックスなんです。
彼は苦笑いしながらそう言った。

「ちょっと汚いですけど、どうぞ。」
「...お邪魔します。」

彼の部屋は男のひとり暮らしの部屋にしては綺麗に片付いていた。

「何か飲みますか?って言っても、コーヒーと水くらいしか出せないですけど。」
「じゃあ、コーヒーで。」

そう言うと、彼は優しく微笑んで手際よくコーヒーを淹れてくれた。

「好きなの?コーヒー。」
「はい。流石に自分で豆を挽いたりはしないですけど、缶コーヒーよりは自分で淹れた方が香りがいいので。」
「そっか。...いただきます。」

早速淹れたてのコーヒーに口をつける。

「...うまい。」
「...!あ、ありがとうございます。嬉しいです。」

そういえば、今更だが気になったことがある。
なぜ一度助けただけの男に、彼はこんなにも良くしてくれるのだろうか。
普通、仲良くもない、しかも一度しか話した事ないやつを部屋にあげたりするだろうか。
俺がそんなことを考えていると彼はこんなことを言い出した。



「あの、実は僕、ずっと宇賀神さんと話したかったんです。」

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