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ジッパー様

第14章 止まらない欲求【片桐side】

 店を手伝っていたというのは嘘だろう。
 俺がジッパー様の存在を知っているということをハルカは知らない。


「どうして会社を無断欠勤したんだ?」

「ごめんなさい……。人手が足りなくて忙しかったんです」

「社長から解雇の話が出ている。ハルカと、進藤にだ」

「えっ……進藤さんも?」

「進藤は一緒じゃないのか? 一ヶ月間、家に帰ってないみたいだが」

「……っ……」


 ハルカは目を泳がすと、俺から顔をそらした。


「とりあえずハルカと会えて良かった。明日から会社に出てこれるか?」

「……っ……」

「話は部屋の中で聞こうか。そんな薄着でいたら、風邪を引く」


 俺は震えているハルカの肩に、自分の上着を羽織らせた。



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