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ジッパー様

第1章 弱味を握る女

 ──怪しい。
 そう思って私はここへ近づいた。


 ここはレトロな作りの喫茶店だった。
 木々に囲まれており、敷地内にぽつんと建物がある。しかし中は真っ暗で、closeの看板が出ているにも関わらず人の出入りがあった。
 それを私は、会社の二階の窓からよく見ていてずっと不思議に思っていた。


 私は興味本位から、喫茶店の周りを歩いて様子を見てみることにした。
 喫茶店の敷地内にはすんなり入れた。窓にかなり近づいてみたが、やはり何も見えず、まるでマジックミラーでも張っているかのようだった。
 そして庭にはテーブルと椅子があり、私はそこで椅子の脚に躓き転んでしまったのだ。



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