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ジッパー様

第5章 初めての誘い

「うっ……!」


 私は吐き気を催し、トイレへと駆け込んだ。
 あの時、ジッパー様に身体を触られたのも、メガネ女にディープキスされたのも夢じゃなかった。


 急いで風呂場へ行き、シャワーで全身をくまなく洗う。
 

 気持ち悪い。
 気持ち悪い。
 気持ち悪い。
 

 どうしてあそこへ近づいてしまったんだろう。どうしてされるがままになってしまったんだろう。どうして……。
 ジッパー様って、なんなの?


「ううん、そんなのどうでもいい! もう絶対に、近づかないっ……」


 私はそう心に決めて、翌日会社に出勤した。
 なるべく窓に近づかないようにして過ごしたが、気づけば私は二階の窓から真っ暗な喫茶店を眺めていた。


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