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ジッパー様

第20章 過去の記憶

「サヤちゃん、違うんだよ。俺は誘惑されたんだ、君のお姉様に」

「えっ……?」


 男はギシッとベッドから下りると、勝手なことを言い出した。


「なんですって? ひどいわ、シホお姉様! またあたしの恋人を奪おうとするなんて!」

「な……なんのこと?」

「とぼけないでよ! あたしの前の恋人と、ここでセックスしてたじゃない!」

「!?」


 一体なんのことを言ってるのかわからない。それに名前がサヤって……いちごじゃないの?


「サヤちゃん、すまない。これからは気を付けるよ。俺が愛してるのは君だけだから」


 その場を取り繕うかのような軽いセリフを吐いて、男はサヤを連れて部屋から出て行った。


「一体、何が起きてるの……? 夢?」


 私は辺りを見渡した。
 そこは見たこともない部屋だった。何畳あるのかわからないくらい広くて天井も高い。周りには高価そうな家具が並び、今私が座っている場所は、天蓋付きのベッドだった。



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