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ジッパー様

第20章 過去の記憶

「リコさんっ……!」


 知ってる顔を見て驚いたとともにホッとした。


「どうかされましたか? シホお嬢様」

「私っ……私のことわからないですか? ハルカです!」


 とっさにそう言ってしまったけれど、よく考えれば、この容姿でそれを言うのはまずかった。


「ハルカ? 何を言ってるんですか、シホお嬢様。寝ぼけてるんですか? それに……」


 リコさんは変な顔で私を見たあと、私の首元に手を伸ばした。


「上までしっかりボタンを締めてくだいませ。じゃないと、キスマークが見えてしまいます」

「……っ!」


 私は慌てて鏡で確認する。
 すると、鎖骨から胸元まで無数のキスマークがついていた。


「ご……ごめんなさいっ……」


 こんなにキスマークをつけられていたなんて、もしかしてさっきの男が?


「全く……。男遊びも大概にしてくださいね。あなたは九条家の娘なんですから」

「!」



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