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ジッパー様

第20章 過去の記憶

 九条家──?
 もしかしてシホとサヤはお金持ちのお嬢様なの?


「旦那様、連れて参りました」


 私はリコさんの案内で、父の書斎へとやってきた。


「入りなさい、シホ」


 部屋の中に入ると、着物姿の中年男性が高級そうなソファーに座っていた。なぜか一目見て嫌悪感を抱く。


「ここに座りなさい」


 私は父から離れてソファーに座った。


「サヤから聞いたが、またサヤの恋人に色仕掛けで迫ったらしいな」

「! そ、そんな誤解ですっ……」


 まさかそんなことを話してくるなんて……。


「いや、叱っているのではない」

「……えっ……」

「十三歳から、お前を調教したかいがあったと感心してるんだ」

「!?」


 父親が、娘に調教……!?


「私の膝の上に座りなさい、シホ」

「……っ……」


 私はなぜか抗えない。
 とてつもない嫌悪感を抱いてるのに、身体が勝手に動いていた。



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