テキストサイズ

ジッパー様

第21章 ジッパー様との出逢い

「あなたはっ……」


 男はサヤの婚約者だった。
 真っ白い髪と灰色の瞳を持つ、私の想い人でもある。


「どうしてここにっ……」

「さっき呉服屋から出てくるあなたを見かけて、少し様子がおかしいことに気づいたんです」

「もしかして、ずっと……」


 まさかテラス席で達した姿を見られていたの?


「彼はパーティーであなたを襲おうとした男ですよね? なぜ一緒にいるのですか?」

「……彼は私の……」


 その時、すぐ近くで黒澤の声がした。


「話はあとにしましょう」


 そう言うと、彼は私を横抱きにした。


「!」

「どうか、怖がらないでください」


 彼はそう言うと、灰色の瞳で微笑んだ。そして大きな羽根を羽ばたかせ、鳥のように飛び立った。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ