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ジッパー様

第21章 ジッパー様との出逢い

「……私は……」

「返事は今すぐじゃなくていいです。私たちはまだお互いのことをよくわかっていないから」

「あ……」

「私のことはジッパーと呼んでください」

「ジッパー様……」


 ふっとジッパー様が微笑んだ。


「今あなたは自由だ。あなたが広い世界を見たいと言うなら、私は喜んで羽根を羽ばたかせよう」

「ジッパー様……」

「風呂と着替えを用意しよう。何か必要なものが欲しければ、なんでも言ってほしい」


 そう言うとジッパー様は部屋を出て行った。


「ふぅ……」


 短時間でいろんな事がありすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだ。


「ジッパー様……」


 やっと彼の名前を呼べた。
 私はずっとあなたの名前が知りたかった。



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