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ジッパー様

第22章 ジッパー様の正体

「私も……私もですっ……。あなたに初めて触れられた時から、私はあなたのことが――」


 そこまで言いかけて、私は口を噤んだ。
 開いたドアの隙間に、マヤの姿が見えたからだ。私と目が合うと、マヤは静かにドアを閉めた。


「……シホ?」

「ジッパー様……この話は他にも誰かに話されましたか?」

「この話を知っているのは、料理長とマヤだけだよ」

「!」

「実は二人とも、研究施設で働いていたんです。二人は施設のやり方に疑問を持ち、私と一緒に脱出してくれました。そして今に至るまでサポートしてくれたのです」

「そう……なんですね……」


 料理長もマヤも研究施設の人間だったなんて……。だから鳥になったジッパー様を見ても驚かなかったのね……。



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