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ジッパー様

第22章 ジッパー様の正体

 声は下から聞こえてくる。もしかして地下があるんじゃないかと思い、すぐそばの扉を開けると、地下へと続く階段を見つけた。


「……はぁっ……うっ……」


 獣の声だと思っていたものは、ジッパー様の声だった。とても苦しそうな声だ。何かあったのだろうか……。


「……ジッパー様? 大丈夫ですか?」


 そっと声をかけると、ザザッと黒い影が動いたような気がした。


「……ジッパー様?」


 暗闇の中から、ジッパー様の息遣いが聞こえてくる。


「……だめだっ……、今はっ……」


 その時、シュルッと何かが風を切る音がした。


「えっ……」


 何かが私の身体に巻き付き、私の身体はグンッと奥に引っ張られた。



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